LOWELL GEORGE / THANKS I’LL EAT IT HERE
今日紹介するのは、リトル・フィートを脱退したローウェル・ジョージが79年にリリースしたソロ・アルバム「特別料理」。70年代のフィートは大好きなんですが、このアルバムはずっと聴いてみたいと思っていたものの何となく後回しにしちゃってまして、今回ようやく中古で入手しました。
① オープニングはボズ・スキャッグスもカバーしたアラン・トゥーサンの名曲。ホーンやコーラス隊を取り入れてはいますが。フィートでの泥臭さが感じられませんね。すごい洗練された感じでAOR的です。こういう音がやりたかったのかな・・・
② 1曲目を聴いて、このアルバム、バンドとは違ったアプローチなのかと思いきや、この曲では従来路線のちょっと暑苦しいソウル的な曲ですね。クラヴィネットが印象的です。
③ 名作「ディキシーチキン」収録曲のセルフカバーですが、オリジナルのタイトでファンキーなビートとは違って、思いっきりセカンドラインなニューオーリーンズ風アレンジになってますね。まんまリトル・フィートの音です。
④ スティーブ・マリオットやティナ・ターナーも取り上げているアン・ピープルズの名曲のカバー。ホーンをフューチャーしたゴージャスなアレンジになってますね。なかなか面白いですが、やっぱりアン・ピープルズのオリジナルにはかなわないかな。
⑤ ローウェル・ジョージとヴァン・ダイク・パークスの共作によるテックス・メックス調の曲。陽気で能天気な雰囲気が、アルバム全体の中ではいいアクセントになってますね。
⑥ どこかで聴いたことがあると思ったらリッキー・リー・ジョーンズのデビューアルバムに収録されてた曲でした。オリジナルはレイジーでジャジーなアレンジがされてるブルースナンバーですが、ここではタイトなビートとホーン隊のフューチャーでまったく別の曲に仕上がってますね。この曲で、ようやく彼らしいスライドギターソロが堪能できます。
⑦ うーん切ないなぁ・・・「ウィリン」に通じるところのある哀感あるメロディーのバラードです。
⑧ これまた切なくなるバラード。アコギの弾き語りで始まるんですが、このアルバムリリース後のツアー中に心臓発作で亡くなってしまう彼の野太い声が心に染み入りますね。
⑨ アルバムの締めくくりは、ニューオーリーンズ風のバッキングで歌われるディキシーナンバー。ジミー・ウェッブ作です。
と、簡単ではありますが全曲レビューしてみました。
よくAOR的になったと言われてるアルバムですが、確かにジェフ・ポーカロやチャック・レイニーによるリズム隊などもあって、フィートよりもタイトにスッキリした感はありますね。
ただ、ローウェル・ジョージこそがリトル・フィートの船頭だったわけなんで、根本的にはバンド時代と音のベクトルはそんなに変わらない感じがします。ただ、バンドの呪縛や制約からは解放されたような雰囲気は感じますし、⑤⑨などの新機軸もなかなか楽しいです。
内容的にはお気に入りなんですが、惜しむらくは音質がイマイチな事ですかね。ライノによるリトル・フィートのリマスターベスト(注文中なので、いずれご紹介します)も発売になったことだし、オリジナルタイトルやこのソロアルバムもリマスターでリリースされることを切に願います。
1. What Do You Want The Girl To Do?
2. Honest Man
3. Two Trains
4. I Can't Stand The Rain
5. Cheek To Cheek
6. Easy Money
7. 20 Million Things
8. Find A River
9. Himmler's Ring
購入日:12/27
購入場所:ディスクユニオン新宿本店
購入金額:¥630
備考:国内盤 帯なし 中古