シカゴ低迷期の3枚 「HOT STREETS」 「13」 「XIV」


シカゴというと、80年代前半から半ばにかけて「素直になれなくて」「忘れ得ぬ君に」「スティル・ラヴ・ミー」などを大ヒットさせたこともあってか、ラブバラードがお得意なグループだとお思いの方もいるかと思いますが、もともとはブラスをフィーチャーしたジャズロックっぽい感じで69年にデビュー。

テリー・キャス(G)、ピーター・セテラ(B)、ロバート・ラム(Key)という3人のソングライター&ヴォーカリストを擁し、多彩な音楽性をもつブラスロック路線で、77年までに9枚のオリジナルアルバムと2枚のライブアルバムをリリース。
その後、テリー・キャスが不慮の事故で亡くなり、バンドは新メンバーを補充しつつ活動をするも、セールス的には下降の一途。
その後、ワーナーに移籍しデヴィッド・フォスターのプロデュースでAOR風なサウンドに変貌を遂げた82年の「16」からは「素直に~」が」大ヒットして見事に復活。その後もコンスタントに活動し、今に至るといった感じでしょうか。

そんな長い活動歴のシカゴですが、僕がよく聴くのはテリー・キャス存命中の作品、1st「シカゴの軌跡」から「XI」までで、リアルタイムで聴いていた「16」 「17」もたまに取り出したりするものの、テリーキャスが亡くなってから、AORサウンドに変貌を遂げるまでの間ににリリースされた3枚のアルバムについては、シカゴの諸作のなかでもあまり評価が高くないことあって未だに聴かずじまいだったんですよね。今回、ライノからでてるリマスター盤を年末年始で立て続けに安く購入することができまして、まとめてご紹介いたします。



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まずは、フィル・ラモーンのプロデュースで78年にリリースされた10枚目のオリジナルアルバム「ホット・ストリーツ」(全米12位)。こちらはレコミンツで輸入盤の中古を10%オフセール中ということもあって702円で購入。

テリー・キャスの死後、1年たたずにリリースされたこのアルバム、オリジナルアルバムでは初めてメンバーの写真がジャケに使用されたり、「III」以降続いていた数字によるアルバムタイトルが改めていたりで、彼らの新たなる決意みたいなものが感じられますね。

音のほうも、70年代後半という時流からか、ダンサンブルなものもあったり、若干ポップ&メロウになったような気もしますが、旧来のジャズロック風味なものもあったりで、結構な充実作かな。新加入のギタリスト、元スティーヴン・スティルス・バンド、1910フルーツガム・カンパニーのドニー・デイカスもテリー・キャスを若干意識したところは感じられるものの、なかなか良いプレイをしてますし、どの曲もいきいきとしていて、旧来のシカゴファンにも納得な出来ではないでしょうか。

「HOT STREETS」
1. Alive Again
2. Greatest Love On Earth
3. Little Miss Lovin'
4. Hot Streets
5. Take A Chance
6. Gone Long Gone
7. Ain't It Time
8. Love Was New
9. No Tell Lover
10. Show Me The Way
11. Love Was New (Alternate Vocal)





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続いては、引き続きフィル・ラモーンのプロデュースで79年にリリースされた「13」。
今回の3枚では最初に入手したアルバムなんですが、ユニオンの年末バーゲンにて国内盤を500円で入手。

やはりポイントとなるのはシングルにもなった①「Street Player」かな。前作から垣間見れたダンサンブルな要素を推し進めたかのような、ちょびっとディスコチックなナンバーで、9分以上の長尺曲。ブラスが大活躍していて、シカゴらしいといえばシカゴらしいんですが、やはりちょっと違和感が・・・

曲自体はどれも悪くはないんですが、なんかこざっぱりしていて決定力に欠ける感じ。聴いていて中だるみするんですよね。前作で頑張りを見せていたドニー・デイカスのプレイも、今作ではちょっと押さえ気味な感じだし。セールス的にも全米21位と急降下しておりますが、それもなんとなく頷けるような気が・・・

「13」
1. Street Player
2. Mama Take
3. Must Have Been Crazy
4. Window Dreamin'
5. Paradise Alley
6. Aloha Mama
7. Reruns
8. Loser With A Broken Heart
9. Life Is What It Is
10. Run Away
11. Closer To You (Bonus)
12. Street Player (Dance Mix)





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最後は、80年リリースの「XIV」。こちらもレコミンツで702円にてゲット。
前作でのセールス的な失敗を払拭するためか、トム・ダウドをプロデュースに起用したアルバムですが、結果的には全米71位と前作を遥かに凌ぐ低セールスだったようです。

前2作でギターを担当していたドニー・デイカスを素行の悪さからクビにし、今作ではセッションギタリストのクリス・ピニックなどがギターを担当。「13」以上に地味な扱いを受けているアルバムですが、内容的にはそんなに悪くないかな・・・ というか結構良いです。

アナログ各面の冒頭を飾る①⑥といったアップテンポのハードチューンはけっこうな勢いを感じますし、②~⑤まではパワーバラード4連チャンも、洗練され過ぎていなく、程よく荒々しくてどれも良い感じ。ピーター・セテラ作の③④もですが、特にドラムのダニーセラフィンとデイヴィッド・ウォ リンスキー(マデュラ、ルーファスのキーボード奏者)の共作による⑤は特筆すべきでしょう。

⑦以降は前作に近い、ちょいと洗練されたポップサウンドではありますが、このアルバム、全体的にハードなギターサウンドが目立つこともあってか、「13」よりも重心が低くなった感じがして、けっこうお気に入りです。

「XIV」
1. Manipulation
2. Upon Arrival
3. Song For You
4. Where Did The Lovin' Go
5. Birthday Boy
6. Hold On
7. Overnight Cafe
8. Thunder And Lightning
9. I'd Rather Be Rich
10. American Dream
11. Doin' Business (Bonus)
12. Live It Up (Bonus)
13. Soldier Of Fortune (Bonus)


と、3枚ほど立て続けにレビューしてきましたが、総括すると、この3枚に関してはどれもなかなか良い感じです。
確かに、テリー・キャスというバンドの看板を無くし、新たな道を模索するうえでの、試行錯誤や戸惑いみたいなものは感じられますが、決して悪くはないです。ブラスロック時代が好きで、AOR路線にとまどいを感じられてる方も、一度聴いて見られたらどうでしょうか。
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by shintan_shintan | 2009-01-08 18:16 | 70s (77~79) | Comments(9)
Commented by ryo_1989 at 2009-01-08 23:39
シカゴは1stと5thしか持ってませんが、ジャケが素敵で気になってたんですよ。
こういうベテランバンドって低迷期が良かったりするんですよね。
どうやらリマスター盤を安く手に入れたようで羨ましいです!
AORなシカゴはイマイチ馴染めませんが・・・
Commented by shintan_shintan at 2009-01-09 10:31
ryoさんおはようございます。
1stと5をお持ちですか~ それでしたら次は名曲「長い夜」収録の2nd「シカゴと23の誓い」がオススメかな。僕が一番好きなシカゴのアルバムだったりもします。

キャリアの長いバンドで音楽性の変遷もあるんで、古いものから順に聴いていくと、AOR路線までの流れが理解できるかもしれませんよ
Commented by ストリート・ラッツ at 2009-01-10 02:17 x
いやあ、いいですねー。ホット・ストリート。このアルバムまでのシカゴはどれも好きですが、テリー・キャスが謎の死を遂げて、どうなることかとハラハラしていたところに、意外にもハツラツとしたアルバムを発表して、結構気に入ってました。

個人的にはダニエル・セラフィンのドラムスがカッコイイと思いますねー。(その後、どうして解雇?されてしまったのか不思議です)ドニー・デイカスは、(当時は)知らない人でしたが、さすがにテリー・キャスの後釜は厳しいと思いましたね。

AOR的にも良質なアルバムだと思います。生粋のシカゴ・ファンにはあまり好かれていない、デヴィッド・フォスター的でないAORなので、是非とも聞いてほしいですねー。夕暮れに聞く、「ノー・テル・ラヴァー」のなんと感動的なことよ。
Commented by ワンワン at 2009-01-10 16:35 x
お!シカゴですね!バンド自体は大好きですがこの時代は・・・(汗)
去年、40周年を記念してライノから二枚組みのベスト(果たして何枚目なのか・・・)が
発売されましたが、この時期の作品群からはなんと『HOT STREETS』からの
「No Tell Lover」一曲だけでした(汗)
まあ、この時期最大のヒット曲でもあるので仕方がないと言えばそうですが、
この後に続く『13』や『XIV』は「無かったこと」になっているのではないかと
思ってしまいます(汗)

個人的には『HOT STREETS』は好きな作品です。
新加入のドニー・デイカス、プロデューサーのフィル・ラモーン、
溌剌とした一瞬を捉えたノーマン・シーフ、
その全てにおいて「今までとは違う」的な感覚が
楽曲にも投影されていて好盤だと思いますね。
Commented by ワンワン at 2009-01-10 16:36 x
次の『13』は・・・スミマセン、ハッキリ言って素晴らしいのは
ジャケット(ホテルの窓の光も13階を示している)の出来と
共作にマルコス・ヴァーリが連ねているメロウな「Life Is What It Is」くらいですね(汗)
この曲の出来が凄いのではなく、単にマルコス・ヴァーリが加わっている事がポイントです。
この作品は同じフィル・ラモーンが担当しているのですが、
プロデュースに相当苦しんだのではないかと・・・
もっと言うとバンドに対して相当苦しんだのではないかと。
ちなみにメンバーはダニーがどうたらこうたら言っておりますが、
彼に多くの事を求め過ぎたメンバー自体にむしろ問題があったと思っています。
あと、フィル・ラモーンの人選ですが、
「昔からエンジニアで一緒に仕事をしていて自分達を知っている」というのと
「ガルシオよりは扱いやすい」という思いがあったようです。
Commented by ワンワン at 2009-01-10 16:36 x
次作『XIV』も悪くは無いと思うのですが、
まず、プロデューサーの人選に無理があるというのと
あとこの時期全てに言えることですが、決定的に曲が書けていない事に
問題があるかと。
「う~ん、別にこれだとシカゴじゃなくてもいいじゃん」的な曲があまりに多いのが・・・。
トム・ダウド自体は素晴らしいプロデューサーと思うのですが、
サウンドの方向性を決められないバンドが選ぶ人物では無かったかなって思います。
プロデューサーとメンバーチェンジを繰り返しながらも
方向性を失いドツボに嵌ったシカゴに対し
同じ事を繰り返しながらも明確な人選意図で更なる高みに上り詰めたイーグルスが
対照的だな~って思ってしまいました。

厳しいことを書いてしまいましたが、バンドは好きなんですよ(笑)
Commented by shintan_shintan at 2009-01-11 11:01
ストリート・ラッツさんこんにちは。
「ホット・ストリート」はなかなか良いですよね。テリー・キャスがいないとはいえ、それまでのアルバムと比べてもそれほど違和感を感じずに聴けました。
音楽的にはポップさが増してますし、後のAOR路線の萌芽も見てとれますが、ドニー・デイカス加入の効果かどうかはわかりませんが、イキイキとしてるし、勢いも感じられる良いアルバムだと思います。
Commented by shintan_shintan at 2009-01-11 11:09
ワンワンさんコメントありがとうございます。
メンバーにとっても、この3枚はそれほど思い入れないんですかね・・・
まぁ、セールス的には低迷(特に13とXIV)している時期ですから、あまり良い印象がないのかもしれませんね。

「ホット・ストリート」に関しては、タイトルやジャケなどの新機軸に違和感を感じる方もいそうですが、内容に関しては以前の音楽性と新たな試みや方向性がよい感じでマッチしてると思いますし、テリー・キャスはいないものの、違和感のないシカゴサウンドではないかと・・・
Commented by shintan_shintan at 2009-01-11 11:16
個人的には「13」はちょっとなじめなかったかな・・・
良く言われているディスコサウンドの導入に関しては、意外と違和感ないですし、成功してるんじゃないかと思いますが、アルバムトータルでは、楽曲に魅力の無いものが多いかな。

「XIV」に関してはけっこう気に入ってます。
トム・ダウドのプロデュースによるところなのか、後に正式メンバーになるクリス・ピニックのギタープレイからかは分かりませんが、けっこうハードで荒々しい雰囲気が好きだったりします。曲もけっこうよくないですか?①~⑥まではどれも好きですね~